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divergent's blog

ブログは報道機関ではなく、一般人の意見です。鵜呑みにはしないでください。Twitter→@convi193

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トランスジェンダーのトイレ問題をまとめ直しました

時事問題-LGBT 時事問題

前回のトランスジェンダーのトイレ論争の記事に関して、Q&A方式でまとめ直した方がいいと思ったので、Q&Aでまとめました。前回使ったソースは大体省略しています。筆者がジェンダートランスジェンダーの専門家ではないことは前回と変わりません。

 

popncandyrocket1ban.hatenablog.com

 

Q1:そもそもトランスジェンダーって何?

トランスジェンダーは、性別に違和感を覚えていて、自分が体と反対の性別*1であると感じている人のことです。よく、「体は男、心は女(体は女、心は男)」のように簡略化されて言われることもありますが、違和を感じるという部分が重要です。軽い気持ちで女の子になりたい、男の子になりたい、と言っているわけではなく、本人は苦しんでいるはずです。自分がトランスジェンダーであることを両親や友達、学校の先生などに打ち明けても、理解し、認めてもらえるとは限りません。それどころか、打ち明けたことが原因でいじめられたり、差別されたり、トランスジェンダーであるという秘密を必要以上に広められてしまったりします。

一部のテレビ番組やネットの投稿、風俗店などの影響で、トランスジェンダーに対していわれのない偏見や差別が生まれているのも事実です。つまり、トランスジェンダーと同性愛者の区別がつかずに混同してしまったり(同性愛者に対する差別がトランスジェンダーに向けられたり)、トランスジェンダーの人を嘲笑したり、軽蔑の眼差しを向けたりする人だっています。自分の性を肯定的に捉えるか、否定的に捉えるか、否定的と言っても笑いに変えるか、暗く考えるかは本人の自由のはずです。一部の人が自身の性を嘲(あざけ)り笑っていたとしても、他の人の性も同様に嘲り笑っていいわけではありません。トランスジェンダーに関する性風俗(文化)の取り扱いも同様です。特に、漫画などで、現実と違う方法や感覚で性転換したり、異性の格好をしている人が現実よりも美しく描かれていたりするものもあります。しかし、それを現実の人と比較するのは間違いです。それらは現実と異なるから惹かれたり、面白かったりするのであって、現実と異なることへの怒りやフラストレーションをトランスジェンダーの人に向けてはいけません。

 

Q2:トイレはどっちを使うの?

トランスジェンダーの人は、自分の見た目や性と向き合う気持ちに合わせて、使うトイレを決めています。今のところ、トランスジェンダーの人が心の性のトイレを使うことを禁止する法律は(少なくとも日本には)ありません*2。でも、よく、女装した人*3が女子トイレに侵入して逮捕されたという事件が報道されています。いいえ、それは別の話です。彼らは性的な目的や性犯罪をする目的で入ってきたのであり、トランスジェンダーの人が心の性のトイレを使うのとは違います。そうは言っても、体のごつい人が「私は女性です」と言って女子トイレに入ってきたら困りますよね?ですが、本当のトランスジェンダーの人は、自主規制をしているので、安心してください。つまり、女性/男性(心の性)と認められるような外見になっていたら、その性のトイレに入っていいという暗黙のルールです。反対に、心の性になりきっていたならば、体の性のトイレに入ると、かえって驚かれたり、白い目で見られたりします。外見に応じて使うトイレを決めるというのが、トランスジェンダーの暗黙の了解のようです。どちらの性の理解も得られず、女子トイレも男子トイレも使えない、そんなときに役立つのが、多目的トイレです。逆に言えば、多目的トイレがない施設でこのような状況になった場合、大変なことになります。(もちろん、多目的トイレを、いじめやいざこざを防ぐために、最初から好んで使う場合もあります。)

 

Q3:トランスジェンダーについて何が問題になったの?

アメリカのノースカロライナ州の法律をきっかけに、これまで(外見という制限のもとで)自由にトイレを使っていたトランスジェンダーの人が、その自由を奪われようとしています。ノースカロライナ州シャーロットでは、トランスジェンダーの人が自分の心の性のトイレに入ることを積極的に認める*4条例案が可決しました。一方、その親にあたるノースカロライナ州では逆に、女性を不安や性犯罪から守るために、トランスジェンダーの人が出生証明書の性のトイレしか使えないようにする法律を成立させようとしています。

ノースカロライナ州の法案は物議を醸し、ついに、アメリカの法務大臣にあたるリンチ司法長官が声明を発表しました。ノースカロライナ州の法律が、全てのアメリカ人の平等を保障する公民権法に違反するとしてノースカロライナ州を訴えたのです。一方、ノースカロライナ州は、法律が違法でないことを確認する訴えを起こしました。教育省も公立学校に対し、子どもの希望する性のトイレを使わせるよう、通達を出しました。たしかに、法律を悪用して、私は女だと言い張って女子トイレに入って、性的な暴力を振るう男性が現れるかもしれません。しかし、前述の通り、トランスジェンダーの人が、女/男になった状態で、男子トイレ/女子トイレに入ることはとてもできません。マイノリティであるトランスジェンダーの人権を保障するか、大勢の人々がトイレを安心して安全に使えることを保障するか、アメリカ全土が真っ二つに割れています。

 

Q4:なんで多目的トイレじゃダメなの?

多目的トイレでは、トランスジェンダーの人権を保障するには不十分です。多目的トイレはたしかに、誰にも見られずに入ることができ、男女で区別もありません。トランスジェンダーの人にとって、周りの目を気にする必要がない安全な場所だと思います。しかし、同じ女性/同じ男性なのに、体が違うだけで普通のトイレを利用できないのは不公平です。もちろん、世の中には男女別のトイレを用意できない建物もありますし、介助の都合もありますから、男女誰でも使える多目的トイレ自体は必要です。でも、他の人と違う存在だからといって、トランスジェンダーの人を多目的トイレに押し込むのは問題です。

 

Q5:トランスジェンダーが心の性に合わせてトイレを選べる制度は悪用されないの?

悪用に目を向けるのは非常に良いことですが、悪用される可能性があるから制度をすべて無くそうというのは極端すぎます。例えば、この世には生命保険というものがあります。一家の稼ぎ頭が亡くなったとき、保険金が下りれば、遺族としてはありがたいことだと思います。しかし、この制度を悪用して、わざと家族の命を奪って、お金を得ようとする人がいます。もちろん、止むに止まれぬ事情で家族の命を奪わなければならないという人もいるかもしれませんが、どちらにしろ悪いことに変わりはありません。では、悪用されるのであれば、いっそ生命保険を禁止すればよいのかというと、違いますよね?家族が亡くなってお金が必要な人が困ってしまいます。トランスジェンダーのトイレ問題も同様です。いくら悪用の恐れがあっても、トランスジェンダーは今日から戸籍や出生証明書の性に従ってトイレを利用しなさいと言われれば、心の性になって世間で通用している人は困ってしまいます。この制度をスムーズに成立させるため、制度を悪用して性犯罪に使った人への厳罰化など、外堀を埋めていく必要がありそうです。

 

Q6:アメリカの話なんだし、日本には関係ないよね?

いいえ。実は、国際NGOが、日本の学校トランスジェンダーへの対応を批判しています。国際人権NGOヒューマンライツウォッチは、日本の学校におけるLGBT問題についての報告書*5を発表しました。その中で、トランスジェンダーの生徒が、自分の希望するトイレを使えないという問題を指摘しています。日本の場合は、文部科学省トランスジェンダーの生徒に多目的トイレや職員用トイレを使わせるよう推奨しており、他の生徒と同じトイレを使うことができません。いじめやトラブルを避けるためとはいえ、他人と違うトイレの使用を強制するのは問題のようです。そのまま引用すると感情的になってしまうので自分の言葉に直しますが、男女のトイレで板挟みに遭った挙句、多目的トイレを利用したら今度は障害者のレッテルを貼られてしまった(=いじめ)という例もあるようです。日本にも矛先が向けられている以上、対岸の火事として見ていることはできなさそうです。

 

 

以下、追加です。

Q7:私はオカマ(オナベ)がトイレに入ってきたら嫌なんだけど?

理解が得られないことが問題だと言いましたが、しっぺを返すような質問や指摘がネット上に溢れています。シスジェンダーの人(自分のせいに違和を持たない人々)は外見によってトイレの使用を断られないのに、トランスジェンダーの人は気持ち悪いからトイレから追い出すというのは不公平ですよね?ある日、あなたがトイレの他の利用者に「あなた気持ち悪いからトイレから出て行って」と言われたら、普通に傷つきませんか?それに対し、女子(男子)トイレに入ってきたのは男(女)だし、美しいか醜いかの問題じゃないという人もいるかもしれません。それは、性別に違和を感じていて自分の認識する性として生きたいというトランスジェンダーを根本から否定することになりかねません。「差別をなくすため、黒人と白人は同じトイレを使うべきだ」という主張に対して、「黒人は気持ち悪いから同じトイレを使ってほしくない」と返しているのとほぼ同じです。黒人の方、例示のために、このようなことを書いてしまい申し訳ありません。


Q8:心は女(男)とはいえ、男(女)の人が入ってきたら嫌がる人もいると思う

政治が民意の多数決で決まる以上、仕方のないことです。もし、ノースカロライナのトイレ法が多数決で押し通されてしまったとしても、人類はいつかきっと、その愚かさに気づくでしょう。もっとも、ドイツの人々がヒトラーに全てを委ねる愚かさを知ったのは、大勢の命が失われてからでしたが。
仮に、トランスジェンダーが自分の認識する性のトイレを使うことを積極的に許された(シャーロットの条例)としても、反発して差別する人もいるでしょう。正直なところ、もし日本で同様の法律ができたとしても、私の友人たちがトランスジェンダーが自分の使うトイレに入ってくることを100%許すとは言い切れません*6ウルトラマン的な説教になってしまいますが、自分と違う人の存在を認めなければ、この世の問題は永久に解決しないと思います。

*1:自分の性別を男女という括りでは説明できないXジェンダーと呼ばれる人もいます。

*2:ただし日本では、トランスジェンダーによるトイレの使用について、管理者が管理者の意思に反すると判断した場合は、刑法130条により、建造物侵入の容疑で逮捕されます。

*3:もちろん、趣味やコスプレなどで完璧な女装をする人もいますが、そうした目的での女装はあくまで趣味であり、女「ごっこ」です。彼らが女子トイレに入るのは、「ごっこ」の延長としては認められないはずです。

*4:体の性のトイレを使うことを禁止するものではない。

*5:「出る杭は打たれる」 | Human Rights Watch

*6:私はシスジェンダーヘテロセクシュアルです。少なくとも国際基督教大学の同窓生たちは世界人権宣言を読み、入学時に学生宣誓として署名しています。

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